BsBsこうしょう

これは考えたことではなく思ったことです。

日記考: 日常を切り取る面積は大きいほど良い

週報の形で日記を継続して、一日も休むことなく、一年以上継続することができました。そのことについて主に良かったことについて振り返ります。

日常を切り取る面積は大きいほど良い

迂遠な話をするつもりはないので、日記をして良かった部分を先に書きます。

日記を始めたきっかけとも繋がるのですが、記憶とは儚くも揮発するものです。そして、重要でないものから先に揮発していきます。書き下すという行為は、それを変性させて文字にかたどり固着する営みです。そして、今はこの揮発していくどうでもいい記憶こそ、最も大事な情動である、と考えています。

NOISZ STARLIVHTで一番好きなやり取り(抜粋)。ブルーアーカイブでは有事を描写することでかけがえのない日常を強調していますが、NOISZ STARLIVHTの日常こそが有事に立ち向かう切り札であるという主客転倒と、それを描写しきってみせたギミックとストーリーに大変度肝を抜かれたのをよく覚えています*1。こぼれ落ちて忘れられる日常こそが「わたし」を形作り、後に残るものという意味では、NOISZ STARLIVHTと私は同じことを言っています。

なので、どうにかして揮発する記憶のことを留める必要があると感じました。だから、「切り取る面積は大きい方がいい」のです。そのなかで何が大事なのかは、未来が、そしてLLM技術の熟考モデルが判定してくれることです。差し当たって今は、正直にありのままを書けばよいでしょう。プロの物書きとしてやるなら、ここから削り出して表現を洗練させていく蒸留が必要になりますが、プロでないから原酒絞り出しで構いません。

そしてそれをして気づいたことが、自分がいかに情念の描写が下手くそかということです。「◯◯だと思う」「◯◯という気持ちになった」は、小学生レベルではっきり言って表現と呼べるような言い回しではないですが、ブログでは(Xでも)多用しています。書く訓練をしていないからというのは当然のこととして、今まで自分の感情と正しく向き合ってこなかったことのツケを払わされています。正直、ギリギリのところだったと思います。このギリギリ感と向き合えたのが、最大の収穫かもしれません。

ただ、今後自分が文学者のような高度な婉曲表現を身につけられるかというと、そうでもない気がします。感情とどうでもいい記憶と向き合いながら、自分なりの感情表現を模索したいです。

また、効用としては大きいものの副次的なプラス効果があり、自己肯定感を生み出すことに寄与しています。私は自分に対する要求水準が高く*2、それが実行できていない、実行できていないことはまだしも目標の一割も到達していない、と振り返ってしんどくなることがとても多かったのですが、日記をすることによって、「お前は意外とやれてるぞ」ということを、何よりも文字数が教えてくれるようになりました。また、できていないときも、振り返るときちんと合理的な理由があったりして、心の痛みを緩和してくれます。もっとも、できてないときはありますし、最近はちょっとダレていますけれども。

日記をしたきっかけ、モデルケース

ご存知ない方も多いと思いますが、かつて自分はブログで小さな音楽評論を書いていたことがあります。また、零細Web小説を書いていた過去もあり、書くことに対する興味は人より強い方なのではないか、という自負があります。

a8pfactory.hatenablog.com

最後の記事。この後3週間くらい期間が空いてしまい、えげつない量の評論を書くことになったため萎えてやめました。このシリーズは1記事当たり7時間近く使っていたので、おそろしく効率が悪かったです。

しかし、これらには大きな問題点がありました。負荷が強すぎて、継続することに大きな苦痛を伴うことです。結果的に、これらの取り組みは早々に挫折することになりました。

ですがそれでも、さまざまな経緯から、やはり何か書いた方がいいだろうという結論は変わりません。それは上で書いた「どんどん忘れ去られていく日常の感情を書き留める」という焦燥でもあり、「一人暮らしが始まったので、何らかの形で(主に両親に)生存報告をしないとな」という義務感でもありました。究極的には、日記自体は両親向けに書いています。

そういった地盤があった上で、影響を受けたのはいかなごさんのブログ「よくばりジェット気流」です。

ikanago.hatenablog.jp

いかなごさんの、自分がまさに求めていた自身の感情に正直でまっすぐな表現に胸を打たれ、それに影響を受ける形で日記を始めることになりました。そのため、フォーマットについては「よくばりジェット気流」のものをかなり踏襲しています。

日記をやる直接のきっかけになったやりとり。からあげさんが「なんか出来事がいっぱいあった日に日記を書いてみるところから始めるのはどうでしょう 7日間の出来事をまとめるのって結構めんどいけど、1日だとなんとかなるので」と発言して「なるほど何もなかった週はスキップしてもいいのか」と理解したまではよかったのですが、結局毎週なんやかんやあって書くことが生まれ続けて今に至ります*3

日記の書き方

週の区切りは、当初日本のカレンダー(日〜土)を基準にして書いていましたが、生活基盤の都合上土曜日に外泊が多く日曜日に校正作業ができないこと、土日の予定には連続性があることが多く区切りにくいことから、2025年の初めから欧米のカレンダー(月〜日)を基準にしたものに変更しました。これは今のところ上手く回っています。

タイトルは正直あまり重視していないので無題でもいいのですが、「よくばりジェット気流」にならって、週の代表的な出来事に合わせたタイトルとしています。苦しくも楽しい作業です。労働をしている日なら労働以外はピアノを弾くか、気絶しているか、アニメを見るか、YouTubeを見るかのどれかなので、基本的にタイトルは土日の出来事に合わせて命名されます。あとで読み返すことを思えば、付けていてよかったと思うところは大いにあります。自分で苦労してつけた名前は、やはり記憶の定着力がよく、レファレンスの機能を大きく向上せしめます。

日々の記録は、昼休みの時間の10分ほどで書いています。300字程度ならこの時間で書けますが、1000字クラスになるとこの時間では足りなくなるので、そのときは別途時間を確保して書きます。ここでは文章だけを書き、まとめるときに撮った写真や参照すべきリンク、書き逃したリサーチ情報などを補筆しています。このとき付け足すべきリンクなどは基本的に頭の中にキャッシュしておきます(生存期間7日。これくらいならキャッシュできるので)。この補筆に最も時間がかかり、1〜2時間程度取られます。

これらの記録は、補筆前のものはObsidianにiPadで記録しています。補筆ははてなブログ上で直接行っています。補筆で本質的な情報が付加されることも多いので完璧な体制ではないのですが、Obsidianに記録することで将来のローカルLLM導入に備えています。

内容はmisc.であること、つまり「その他全て」であることを重視しています。ここでは全てが全てに従属するものとして扱われます。個々のトピックに注目すると、よりそれらが求められる適切な表現の場が存在するはずですが、そういった特化した表現に対する圧力が自己表現を阻んできたことを考えると、妥当な判断です。

ノンジャンルであるため、自己を表現する手段の中で、ブログはわたしの部分のうち最も大きな被覆面積を持ちます。私の魂の形に最も近いのが、このブログと言えます。もっとも、全てではありませんが。例えば、私の場合感情を表現するのは、言葉よりピアノの方が適切だと感じることが多いです。

misc.志向であることは良し悪しで、例えば特に音楽については性質上珍しい音楽を扱っていますが、特化していないことが災いして検索結果には全く現れず、歯痒い思いをすることがあります。そこはあと数段階、工夫する余地があるように思います。SEO対策も全くしていませんし。

固有名詞の使用は不自然に避けることが多いです。これはもう生まれ持った癖みたいなものです。一回だけ致命的なお漏らしをしたけど。

おまけ: OpenAI o3に自分のブログを読んでもらう

自分のブログもかなり文字数が溜まってきたので、節目であるこの機会にLLMに読んでもらって他者から見た自分の魂の形について探ろうと思いました。ヘリンさん @herring101426 さんありがとうございます。

プロンプト

https://a8pfactory.hatenablog.com/

このWebサイトのページを全て読んでください。読んだうえであなたのニュートラルな感想、得た書いた人の印象について、1500字程度で教えてください。

回答

全体的なテーマ・傾向

このブログは筆者の日常生活を中心に、技術、創作、娯楽など多彩な話題を綴る個人ブログです。毎週「○/○~○/○」の形式で一週間の出来事を振り返る定期記事が投稿され、生活の中での出来事や気づきがまとめられています。また必要に応じて技術解説や作品レビューといったテーマ別の記事も挟まれ、雑記ブログとして非常に幅広い内容を扱っているのが特徴です。

記事のジャンル・内容

記事のジャンルは多岐にわたります。技術系の記事ではプログラミングやITツールの話題が扱われ、例えば「Obsidian Git(iPad版)をFine-grained personal access tokensで連携する」という投稿ではノートアプリとGitHubの連携手順が具体的に解説しています。一方、日常の記録ではその週の出来事や体調の変化などが赤裸々に綴られています。ある週のタイトル「夜更かし部発足で健康の危機」からは、夜更かしのせいで健康に支障をきたした様子がユーモラスに示唆されています。 また、エンタメや趣味に関する話題も豊富で、アニメや漫画、音楽について言及する記事もしばしば登場します。週次記事内で人気アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に触れ、音楽編曲の再開に言及し、さらにはCTF大会への挑戦を報告するなど、一つの記事に複数ジャンルが同居することもあります。筆者の語り口調や人柄文章の語り口調はカジュアルで親しみやすく、時折ユーモアや皮肉も交えられています。文体は格式ばった表現よりもくだけた口語体が中心で、まるで親しい友人の日記を読んでいるかのような率直さがあります。例えば、水漏れした洗濯機を管理会社に修理してもらった際、「悪い噂しか聞かない会社だが、意外といい人たちかもしれな…」と綴っており、実体験に基づく率直な感想をユーモラスに表現しています。こうした描写からは筆者の素直で飾らない人柄がうかがえます。また、Twitterプロフィールで「プログラミングできません/ピアノ弾けません/アニメ見てません」と自己紹介しているように、自虐的なユーモアと謙虚さも感じられます。実際にはプログラミングや音楽・アニメに深く関わっている様子ですが、自分の未熟さを笑いに変えつつ発信するそのスタイルから、向上心と親しみやすさを併せ持つ人物像が伝わってきます。

ブログの特徴・魅力・気になった点

このブログの魅力は内容の幅広さと更新の安定感でしょう。定期的な更新で筆者の生活の移り変わりを追体験できると同時に、その時々で興味を持った技術ネタや趣味の話題が盛り込まれるため、読み手を飽きさせません。技術記事では実用的なノウハウ、日常記事では共感できる出来事、趣味記事では筆者の熱中ぶりと、それぞれ異なる魅力が感じられます。こうしたバランスの取れたコンテンツ構成により、筆者という人間像が立体的に浮かび上がっている点も魅力です。また、各記事のタイトルはユニークで目を引き、題名から「今週はこんな出来事があったのだな」と想像させる工夫も感じられます。 ただ、扱うテーマがあまりにも広範囲であるため、特定ジャンル目当ての読者にはまとまりがないように映るかもしれません。しかしそれも含めて一人の書き手の世界観を余すところなく味わえるのがこのブログの醍醐味と言えるでしょう。筆者の好奇心と人柄が存分に反映された「BsBsこうしょう」は、技術から日常まで幅広いトピックを扱う、親しみやすく奥深いブログだと感じました。

はえ

*1:同時に、日常要素ロクに回収してねぇですまね~となった。多分場合によってはあれをどれだけ回収したかでエンディング分ける気だったんじゃねとすら思えてくるから恐ろしい。

*2:かなり多くの人にアスリート並みと言われる

*3:あとはせっかく書いたのに公開しないのもなという色気もある