BsBsこうしょう

これは考えたことではなく思ったことです。

7/31~8/4聞いた音楽

This Is Thelonious Monk

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セロニアス・モンクアメリカのジャズピアニスト(故人)。

これまで聞いてきた日本のジャズピアニストと比べると、やはり本場だけあってか、かなり王道的というか、ザ・ジャズという感じの音楽だ。日本のジャズが変だとは思わないが、同じ音楽でも国が変われば特徴も変わるのだなぁ。

ジャズ全体の特徴になるが、ジャズを最も際立たせているのは強拍の取り方だろう。一般的なリズムではビートの頭に強拍が置かれることが多い(ドラムセットという楽器が存在することからも明らか)が、ジャズは強く打鍵される場所がまちまちで、全体的につんのめった印象を与えている。強拍は同じ長さでも印象に残って聞こえるので、結果としてジャズにありがちなシャッフル、すなわち揺れて聞こえるようになる。シャッフルが強拍を置く位置による聞こえ方の印象という説明ができるのなら、意図して揺らすとてんでダメになってしまう理由もきれいに説明できるわけだ。

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セロニアス・モンクの録音は古いので、録音技術が未成熟な時代の音楽を聞くことができるのが興味深い。注意深く聞くと、セッションの途中の演者のかけ声を聞くことができる。また、マイクが一か所にしかないため、多人数のセッションでは楽器ごとに定位がえらく偏っている。

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変なタイトルの曲を見つけて、聞いてみたがあまりよく分からなかった。どうやら荒城の月のジャズアレンジらしい。それを念頭に聞き直してみると、なるほど荒城の月だとなる。日本らしさをほとんど感じさせない、これがプロのアレンジ……

Bill Evans - Undercurrent

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ビル・エヴァンスアメリカのジャズピアニスト(故人)。かなりの有名人で、自分も名前くらいなら知っていたほどだ。

セロニアス・モンクは黒人のジャズピアニストだったのに対し、ビル・エヴァンスは白人のジャズピアニストなので、ちょうどよく対照的な組み合わせとなった。

ビル・エヴァンスはフレージングやコードのハーモナイズは確かにジャズのそれなのだが、セロニアス・モンクのザ・ジャズというようなジャズ感は鳴りを潜め、全体的に暗く陰鬱な雰囲気が漂う演奏になっている。人によっては、ビル・エヴァンスの方がジャズっぽく感じるかもしれない。

ただこのアルバムに関していえば、全体的に「ジャズっぽくしたドビュッシー」みたいな音楽の一本調子で、その中で際立っていると思わせるようなナンバーはなかった。詳しく分析すると面白いと思うから、楽譜はあってもよさそうだけどね。この数か月、読書ばかりしていてアナリーゼを全くやってないの、少しまずい。

Nusrat Fateh Ali Khan - Mustt Mustt

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Nusrat Fateh Ali Khanはパキスタン人の歌手(故人)。これも本の中でおすすめされたやつ。

いわゆるポップスとは出自の異なる、西洋的ではないフォークソングの系統のことを、ワールドミュージックという。アフリカからアジアまで全部ごった煮にされた乱暴なくくりといえばそうなのだが、こんな日本ではとても売れそうにない曲を専門に扱うレーベルまであるというのだから、アメリカの多様性には驚かされるばかりだ。

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パキスタンの一般的な音楽と言われても正直あまりピンとこないのだが、この記事によるとNusrat Fateh Ali Khanはかなり王道的なパキスタン音楽を奏でるアーティストのようだ。引用したほうが分かりやすそうなので、この記事から引用すると、

1.南アジア音楽特有の歌唱法・節回し

これはお聞きいただくのが一番わかりやすいですが、インド音楽のラーガ(旋法)だとか、ヒンドゥー・スケールと呼ばれる独特の音階、声の細かい節回しや揺らぐような音程移動、口(くち)ドラムなど。とても特徴的です。

2.多層的なリズム

複数のパーカッション、合奏者の手拍子により多層的なリズムを奏でます。この構成ではタブラが入っていませんがタブラが入るともっと細かくリズムが分割されます。こうした複数の音が重なっていく感覚は特徴的です。また、曲が盛り上がるにつれてだんだんリズムが早くなる構成も多いです。

3.主唱者と合唱者による輪唱

これはゴスペルにもみられる構造ですが、主唱者の後でコーラスがそのラインをなぞる、コールアンドレスポンス的な構造がある。リズムが重なっていくのと合わせて声も重なっていき、熱狂感を生んでいます。

総じて器楽ではない、自身の身体から発せられる音を大事にする音楽という印象を受ける。細かい節回しで奏でられる声はその代表たるもので、Nusrat Fateh Ali Khanは特に声による表現を大事にしているように感じられた。

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アルバムの表題となったMustt Musttもポップで聞きやすい音楽だと思うが、個人的にはTana Dery Naのリズム感がかなり好きだ。ゴム膜のようなよく分からないパーカッションの音がとにかく良い。

終わりに(雑記)

ふるさと納税の使い道を考えているときに、国立科学博物館クラウドファンディングの話が飛び込んできた。

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渡りに船という話でもあったわけだが、1日で目標金額を達成したという知らせを受け、少し心に陰りができてしまった。多分、自分が救うべき博物館は他にあるのではないか(これも有名どころだが、大阪市立自然史博物館など)。しかし、それがあったとしても今このクラウドファンディングに参加しないのは欺瞞なのではないか、といった考えが湧き上がってくる*1。結論は出ない。

寄付金控除は所得控除と税額控除の両方が選べる方式になっているが、よっぽど所得が高くないと税額控除の方が有利だろう。

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税額控除は寄付総額の40%くらい。ふるさと納税と通常の寄付金の控除枠は共有なので、寄付を出す場所はよく考える必要がある。地方の博物館のような施設と地方そのもの、どちらも財政上の困難に直面しているのは事実である……

*1:今は目標金額の3倍を達成されたとのことだし、もう今年度については寄付する必要がないだろう。