BsBsこうしょう

これは考えたことではなく思ったことです。

投資について考えよう(2023年版)

就職する前は確定拠出年金(iDeCo)に全ツッパが正しいと信じて疑っていなかったが、最近考えが変わったので記録しておく。

まずは押さえておくべき基本からおさらい。

ゆるくやる投資手段の基本

確定拠出年金(iDeCo)

日本ではiDeCo、もとい確定拠出年金とは、自分で投資して行う自分用の年金制度のことである。年金という名目なので60歳まで引き出すことができないが、全額非課税、掛金は全額所得控除の対象になるなど、その効果は絶大だ。iDeCoは5000円/月から行うことができ、上限は労働者の状況により異なる。ただ、まともな企業なら企業型確定拠出年金を持っているはずなので、iDeCoまで頑張る必要はないかもしれない。

NISA, つみたてNISA

NISA, つみたてNISAは一定の期間内、一定の金額まですべての投資が非課税になる口座を開設できる、金融庁の投資優遇制度である。NISAは一般NISA(NISA)とつみたてNISAに分かれており、口座開設時にどちらかを選択する。

NISAは年間120万円、最大合計600万円を非課税で投資することができ、つみたてNISAは年間40万円、最大800万円を非課税で投資することができる。その代わり資産を保有できる期間に制約があり、NISAは5年、つみたてNISAは20年保有すると手放さなくてはならない*1

また、投資した商品はいつでも売って換金できる。

新NISA

なお、2024年以降NISAはNISAとつみたてNISAが合体して新しくなることが決定している。

www.fsa.go.jp

新NISAでは資産の保持期間が5年(20年)から無期限になり、元本の制限が合計1800万円まで緩和される。また、つみたて枠と通常枠で同時に投資ができるようになるので、本格的に実用に耐えうるものになった。年間投資枠は分かれているので、現物で遊びたい人にも優しい構成となっている。

貯蓄、住宅財形、住宅ローン

厳密には貯蓄は投資ではないが、適切な現金資産比率を保つことは投資において極めて重要である。とはいえ、貯蓄について言えることはそれだけなので、投資の中で貯蓄的な性質を持つ住宅財形と住宅ローンについて述べる。

財形貯蓄制度は、厚生労働省が主導している貯蓄の一種で、所定の手続きを経ることで数年かけて事業主から(給料を天引きする形で)行う貯蓄である。

www.mhlw.go.jp

まあ貯蓄なので利息はカスみたいなもの、貯めてる間は引き出せないなど制約がある。しかし財形が他の貯蓄と異なる点は、財形に存在する「財形持家転貸融資」という財形に預けている資金を保証金にして住宅ローンを組める制度があることである。それ以外に財形の利用価値はない(普通の貯蓄で良い)ので、財形を選択するのは実質住宅ローンを選ぶのと同義である*2

www.mhlw.go.jp

不動産をローン組まずに購入できる人はそう多くないと思うので、家を買いたいなら結局貯蓄はローンを組むために行うことになる。住宅は資産扱いではあるが、よほどいい場所に住むか運が良くない限り、資産価値はまず目減りする。東京などの大都会中心部のタワマンは相変わらず夢がある地価だが、住宅のお値段も大変夢があるものになっているので、投資資産としては金持ちがさらに私腹を肥やすためのものとしての役割しかない。

かつてはわざわざ住宅ローンを組む目的は住宅ローン減税による恩恵があったが、住宅ローン減税はまもなく終了する見込み(2025年)。つまり、今から住宅ローンを狙いに行くのは手遅れだ。

iDeCoと新NISAの比較

iDeCo 新NISA
月当たりの掛け金上限 23000円 or 12000円 10万円
掛け金合計の上限 なし 1800万円
引き出せるまでの年数 約30~40年 いつでも
税制上の優遇 所得控除, 非課税 非課税

上限までiDeCoを突っ込んだ場合、得られる所得控除の額は276000円or144000円。半月~1か月分くらいの給料が少ないとして所得税が計算される。大きいと言えば大きい、小さいと言えば小さいという微妙なライン。。

ちなみに企業型確定拠出年金にも所得控除は適用されるので、併用することで474000円まで控除額を増やすことができる。ここまで大きくできるとそこそこ影響大きそう。

www.ykj.jp

控除が受けられる点は大きいが、60歳まで引き出せないことを考えると、結局その分だけ多めに支払うのと変わらない。そのあたりを嫌気するなら、所得控除は受けられないがNISAで代替しても良い。

投資する商品

インデックス投信に塩漬け。以上。インフレによる上昇分は担保されるので、インフレに対応できない現金で持つよりも筋がいい戦略となる*3。どこのインデックスに合わせるかは人によりけりだが、TOPIXかS&P500か全世界かの3択だろう。

NISAを短期で引き出そうと考えている場合、これらは(これらでさえも)元本割れのリスクはかなり高い。また、直近の国際情勢は不安定でリセッション傾向にある。さらに噂程度に存在する台湾有事が本当に起きてしまった場合、これらの指数は爆発してしまう。

しかしiDeCoの引き出しにかかる30~40年というスパンで見れば、そんなものは非常に些細な差異でしかない。

そのため、NISAであっても必然的に投資の戦略は長期を軸にすることになる。折しも新NISAの骨子は長期投資に根差したものになっている。

投資する戦略

キャッシュフローが十分にあるなら、取るべき戦略はひとつしかない。すなわち、iDeCoもNISAも常時最大額まで投資(月に15万円くらい投資)。しかし、現実問題として金はない。そのため、より恩恵を受けられる確定拠出年金を主軸に投資を行う。

最近思っていること

ということを考えて確定拠出年金を非常に重要視していたが、最近この議論には深刻な穴があることが分かった。「今に対する投資」を、全く度外視しているのである。

今に対する投資

今に対する投資とは、簡潔に言うと「未来のための資金なんか知るかぁ~~!!全部遊びでスっちまえばいいんだよ!!!!」ということである。遊びに使ってしまうのは非常に極端な事例だが、例えば資格勉強をしたり、趣味の活動に使ったりということにお金を積極的に使っていきましょうということになる。

実利的な面では、趣味はともかく、資格勉強などの各種勉強をしたところでキャッシュフローを増やせるかどうかは賭けに過ぎない。今できる戦略としては、iDeCoよりも利回りが良くないと考えている。

しかし、今に対する投資の真価はそこではない。今に対する投資で最も重要視しなければならないのは、楽しみは時間の経過によって逓減するということである。

今に対する投資とiDeCoのような未来に対する投資の比較は、今手にできる資金と老後手にできる資金の多寡によって行うべきではない。本当に比較しなければならないのは、今できる楽しみの大きさと、定年退職後に訪れる安心の大きさである。

今できる楽しみの大きさが逓減するというのは、加齢だけが原因ではない。一般に経済学(会計学)では、将来に手に入る資金よりも今手に入る資金の方を高く評価する。同様に楽しみという利得についても、今手に入るものの方が後で手に入るものの方が価値が大きいというのは、(学術的な根拠は示せないが)個人の生活の実感としては、納得してもらえるのではないかと思う。

インデックス投信の利回りは、3~5%ほどで見積もるのが良いとされる。仮に30年利回り5%の商品を10万円/月のペースで購入し続けた場合、最終的な売却益は4700万円に到達する。これは非常に大きいように見えるが、老後の資金として考えるといささか心もとない(1年200万円の節約生活をしたとしても、たった23年しか生きられない!)。また、インフレを考慮すると、売却益はさらに目減りする*4。つまり、今遊びに金を使うことの正しい比較とは、たかだか20年未満の節約生活との交換ということになる。

この投資を実現するためにかかる現在の自分への負担を考えると、正直リターンがあまりにもしょっぱい。また、最近60歳までとても生きられないような気がしてきた。60歳未満で死んでしまった場合、もちろんiDeCoへの投資は全損となる。

つまり、「リターンがしょぼすぎてやってらんねえよ」というのが正直な気持ちになってきたわけだ。金は取り戻せる可能性があるが、若さを盾にした経験は取り戻せない。なので、投資は無理しない程度にiDeCoに突っ込むのにとどめ、基本は今への投資をやっていくべきなのではないか、というのが現在の自分の考えである。

ただ個別で遊ぶのは面白いので、また機会を見つけてやってみたいと思っている。投資をやるやらないに関わらず、新NISAは開設して損はないので開設すべき。

*1:ロールオーバーといって、次のNISAの枠に引き継がせることはできる。もちろん、その分年間の枠を消費する

*2:最大4000万円までなので、ファッキン大都会では全然足りません

*3:インデックス投信は投資ではないとフカす人間がインターネットにはたくさんいるが、全員個別株やFXに誘導する仕手筋なので無視しましょう。まあそれはそれとしてインデックス投信は確かに投資と呼べるかは微妙なところではあるが、そのあたりの話題に興味を持った人は信頼できる書籍で勉強したり、実際に個別株の現物をやってみることをおすすめする。ところで僕のおすすめの銘柄は――(やりません)

*4:インフレ率を低めの1.5%で計算しても、1000万円近くも持って行かれてしまう