今回の生活チャートを組むにあたって最も重視しているのが食事だ。食事は1日に複数回必要で、準備や片付けに膨大な時間がかかり、健康への影響も極めて大きいからだ。
なれはて生活最大の短縮点: refrigeratorlessチャートの発掘
冷蔵庫の購入をスキップすることで、電気代と食費の節約を図る。
…………いやいやいやいや待て待て待て待て。帰るな。理由をしっかり聞けば理解してくれるはずだ。
まずもってはっきりお伝えしておきたいのは、冷蔵庫はデブ製造機であるということである。すぐにアクセスできる位置に食べ物があると、ついそれを食べてしまうためカロリーオーバーというわけだ*1。それを防ぐための究極の方法として、冷蔵庫をなくすことを提案する。
今一度よく考えてほしい。冷蔵庫は確かに豊かな食生活をもたらしてくれるだろう。しかし冷蔵庫を買うということは、今後永遠にその中身を管理し続けるコストを支払うことを意味する。何か買うときに、「買った物を補完するスペースが冷蔵庫にあるか?」「同じものをすでに買っていないか?」などの検討を全ての物に対して行わなければならない。また、冷蔵庫の中に入るものは本や服と違って長期間の保管に耐えられないナマモノであり、回転率が高くツールによる監視に適していない。つまり脆弱な記憶に頼るしかない。それを今後ずっと行うことで支払うことになる判断力コストは、相当高額だ。
そしてそのコストを支払って手に入れられるのは、わずかばかりの節約と、多少の豊かな生活、そして健康である。冷蔵庫を買う(自炊する)ことで節約できるという声は非常に大きいが、冷蔵庫そのものが電気代をやたら釣り上げていることには注意する必要がある。今回の生活にあたって、冷蔵庫の電気代を3000円/月と見積もって計算を行った*2。1日100円もあれば、半額総菜なら1品増やせる。デザートも買える。
上記のうち健康が占める割合は無視できないが、逆に言うと健康をリカバリーする方法さえ工面できれば、判断力コストを節約することができるようになる。
冷蔵庫なしで生きる方法
健康については、バランス良く栄養を取ることと、食べすぎないことが重要になる。そのうちバランスの良い食事については、管理栄養士が監修している弁当が毎日来るので(しかも安め)、それに乗っかる形でカバーする。また、バランスの良い食事について足りなくなりがちなのは決まって野菜>>>>タンパク質(赤肉ではない)>>>>>>>>>炭水化物なので、最も足りなくなりがちな野菜について野菜ジュースを飲むことで補う。
タンパク質は好きなように食事をしていたら勝手に摂取できるし(本当の必要量には遠いが、それはもう仕方ない)、炭水化物は何にでも入っているのでテキトーに生きていても自然とクリアできる。おやつなどで摂取した余分なカロリーは朝昼を減らすことでバランスを取る。
夜食べるものは難しい。基本的に上の食事をとっていれば必須栄養素に関してはクリアできているので、おなかを満たすための最低限の食事をとるように心がけたい。
だいたいこの食生活で、摂取カロリーがメインの食事部分で1000kcal、おやつやジュースを考慮して1500~1800kcalくらいになる。もともと夕飯なしの1000kcalで耐えるつもりだったのだが、最近はおなかが空いて2000kcalくらいになってしまっているのが悩みだ。とはいっても2000kcal(厚労省の推奨摂取カロリー)で収まっているので、全体としてコントロールに成功していると言える。
1日あたりの食費が安く済むのも嬉しい。おやつを食べなかった場合、1日の食費はたかだか800円程度になる。おやつを多少買ったところで、会計的には痛くも痒くもない。だからといって最近買いすぎているのはよくないが…
いかんせん切り詰めてストレスをため込みがちになるので、休みの日は外食に行くなどしてリフレッシュしている。気晴らしに料理に挑戦してみてもいい。毎日する料理は苦痛でしかないが、たまにする料理はいいものだ。休みの日は基本的に1食しか取らず、食費は2000~3000円程度になる。3000円を超えると「少し使いすぎたな~」と少々反省する。
冷蔵庫なしでの自炊
外食は普通に食べるだけでいいが、冷蔵庫がない状態での料理は、事前に想定していたよりもはるかに大きなハンディキャップを抱えることが分かった。まず、食材はごくわずかな例外を除いて基本的に使い切りとなる。使い切りとなるので、ドカ食いをするか、具材の数を減らすかの二択になる。自分の場合は、普通に買い物をしているといつもドカ食いになってしまう。こういうときに調整できないのは結構つらい。また、具材を少なくして栄養バランスを保つには工夫が必要になる。
当たり前のように使われる食材・調味料の数々が縛られるのも厳しい。チーズ、生クリーム、万能調味料、マヨネーズ、ケチャップ、ニンニク、などなど、全部使えない。バズる系のレシピで雑に投入される食材のほぼ全てが使用不可能。また、これは自分の問題でもあるが、冷蔵庫は冷蔵保存容器としての役割だけでなく密閉保存容器としての役割も大きいと考えており、長期間の連続使用が見込まれる常温保存可能な食材、具体的には小麦粉や砂糖などは冷蔵庫で保管したいと考えている。したがって小麦粉も砂糖も使えない。
あと、毎日自炊するメリットはないと判断したので、炊飯器も買っていない。
よって、残るのはパスタしかない。
平日の食事
平日の夕食はほぼ毎日パスタを茹でて、市販のソースをかけて食べている。休日はソースを自作したパスタを作ったり、パックご飯でカレーを食べたりする。
毎日食べるパスタは安いものを食べることによる節約効果が大きいので、最も安いものを買う。トプバの1kg228円のパスタを愛用している。これは常用しても平気な味(というか自分はトプバと割と親和性高いっぽい≒バカ舌かもしれない)。
ずっと1.7mmを使っていたが、最近早くゆで上がる1.4mmが売られるようになったので、そっちに乗り換えた。正直1.7mmのほうが何かと使いやすくはある。
ソースはキユーピーのあえるパスタソースシリーズを愛用している。似たようなコンセプトのエスビー食品や無印良品の商品もたまに買って使うが、キユーピーが最も価格と味と使いやすさのバランスが優れているように思う。
あと、変わったところではトプバの5食298円のパスタソースシリーズを使っていたりもする。たらこはひどい味だったが、ペペロンチーノとナポリタンはなかなかおいしい。駄菓子のペペロンチーノを食べたことはないが、多分こんな味なんだろうな~と想像している。ペペロンチーノなんて下品な味がしてナンボですからね。まあ、常食はよーやらんけど。
また、たまーに素パスタも作る。アーリオオーリオの本質がまぜそばであることに気づいているなら、素パスタでも十分食べられる味の食事を作ることができる。
調理用具には、ダイソーのレンジでパスタを茹でる容器を使う。すごい便利。
電子レンジ調理器(パスタ用、大容量)jp.daisonet.com
で、この容器で茹でるとき、通常は茹で上がった後残ったお湯を捨てるが、お湯を捨てずにソースと混ぜ合わせるのがポイント。そうすることで洗い物が1つ(食器を使わない場合は2つ)減る。「お湯を捨てないとシャバシャバになるのでは」という心配は無用。コツを掴めば、パスタが残ったお湯を吸ってモチモチに仕上がるようになる。電子レンジの機嫌でたまにうまくいかないことがあり、そのときは素直にスープパスタとして食べる。水の量を少し減らし、温め終了30秒前くらいに空焚きみたいな状態になったらうまくいっている*3。
休日の料理
毎日茹でるパスタが時短を主なゴールとしている一方、休日の料理は適切に栄養をとることを主なゴールとしている。予算は割と好きにしても良い。
限られた品数で適切に栄養をとる必要があるので、自由度はあるように見えて意外とない。料理をするときには以下の点に注意する。
- 基本1品しか作らない
冷蔵庫がないので、たくさん作って残りを保管する、食材を少しだけ使う、といったテクニックが封じられている。大皿を2品食べるほどの元気はないので、自然と1品しか作らない方針に定まる。
また、一人暮らしのキッチンは異様に狭いのが非常に不満で、こんな狭いキッチンでは2品以上作るような凝った料理はしたくない、という気持ちになってしまう。
- 野菜中心
野菜と肉類は、予算の観点から野菜7肉3、あるいは野菜9肉1くらいが望ましい。一時期は肉を完全に切っていたが、毎日料理する必要があるならそれでも良い。肉を冷凍室で保存できないため、肉はどうしても高くついてしまう。そこで、野菜中心にすることで肉への依存度を減らしていく。
肝心のどのような野菜を買うかだが、作りたいものに合うような野菜を買っていくようにすれば、淡色野菜については簡単に目標をクリアできる。なので、緑黄色野菜をどのようにして採るかがポイントになる。
野菜TierS
- 小松菜
小松菜は貴重な緑黄色野菜で、切るだけで使え、価格も安い最強の野菜。基本何にでも合わせられるポテンシャルがあるが、色が緑っぽくなることだけに注意(下ゆですると少しマシになる)。
- にんじん
にんじんは緑黄色野菜の代表格で、切るだけで使え、価格もまあまあ安く、常温保存ができる。弁当が手に入らない長期の休みで命綱となる野菜。
野菜TierA
- トマト
トマトも分類上は一応緑黄色野菜。生で食べたり潰したりして使う印象の強い野菜だが、実は形が残ったまま炒めてもおいしくいただける、待ちの広さも持つ。価格がかなりお高めなことだけが弱点なため、S入りを逃した。にんじんほどではないが、一応常温保存に耐える野菜のひとつ。
緑黄色野菜。下ゆでが必要な野菜のひとつだが、実は電子レンジで温めるだけで良い。価格が高めなのと、切るときに房が散らばりがちなのがネック。
- 白ねぎ
淡色野菜(上部は緑黄色野菜)。味に奥深さがありおいしい。焼くとかなり縮むため、大量に野菜を取りたいときにおすすめ。
- アボカド
果物。料理の素材としてというよりは、緊急避難的に食べるべき野菜。何も食べる気力が起きなくなったとき、どうしても油分を採りたくてたまらない状態になった時に、アボカドを1個買ってきてしょうゆで食べると、かなり助かることがままある。逆に常食は栄養がありすぎて危険。
- キノコ類(エリンギ、シメジ、エノキ、マイタケ)
いずれも相性補完に非常に優れ、価格も異常に安いので、よく肉代わりに入れている。
B以下は基本的にA以上の野菜に合わせる形で投入する。Fは原則買わない野菜。
肉類は鶏か豚を買う。できれば鶏肉を買いたいとは思っているのだが、下ごしらえが面倒なためどうしても豚肉を買う頻度が高くなってしまう。逆に牛は全く買う必要がない。よほど煮込んだり、ステーキにしたりしないかぎり、牛じゃないとだめというシチュエーションは存在せず、豚肉で全て代用できる。
魚はたまに買う。魚じゃないとダメって状況はないのだが、魚を食べると満たされた気分になる。
豆腐やちくわは使いこなせば強い食材なのだが、なかなか生活に入り込んできていない。野菜だけでお腹いっぱいになってしまうため……
というような感じで食材を買い、混ぜたりゆでたり焼いたりして料理を作っている。結論から言うと、あまりおいしい料理はできなかった。「インターネットで大人気なレシピは結局おいしい調味料のパワーで舌をごまかしているだけだから、素材の味を引き出せばそんなものを使わなくてもおいしくなるはず!」と意気込んでいたが、素人には限界があることを思い知らされる結果となった。
当たり前だけれども、料理を楽しみたいと考えているなら、冷蔵庫は買った方がいいと思う。あと炊飯器も。自分は料理を楽しみたい方の人間なので、この点については少し後悔している。とはいえ、まだまだそんなことをしている場合ではないから、まだ冷蔵庫を買わないけど。
*1:この目的に沿うなら本当はスーパーまで歩いて10分以上の場所に住むことが望ましいと思うが、妥協した。
*2:この計算は昨今の電力事情により今はもっと高くなっているかもしれない
*3:面倒を控えるためにそうしているのではなく、一応理論的な裏付けはある。ソースを和えるパスタにおいて最も重要な工程、それはソースの油とパスタをなじませるマンテカーレだ。マンテカーレを上手く引き起こすためには、ソースに含まれる油分(オリーブオイル)とパスタのゆで汁にしみ出したパスタの小麦のたんぱく質を乳化させるのが最も大事になる。だからパスタソースを作るときにはゆで汁をソースに入れなさいと教えられるわけだ。翻って電子レンジでパスタを茹でたときのことを考える。電子レンジでパスタを茹でたとき、パスタはゆで上がるが、容器に残るお湯の量は少ない。もともと入れていた水の量が少ないから。しかし、この中には1人前のパスタからしみ出した小麦のタンパク質がぎゅうぎゅうになって詰まっている。マンテカーレの工程を考えると、これはあまりにももったいないことだと分かるだろう。だから、市販のパスタソースでマンテカーレを引き起こす(には少々温度が足りないが)ために、あえてお湯を捨てない真の熱々の状態のパスタにソースを入れ、一気に混ぜ合わせる。あとは本文で言った通り、お湯の量が多すぎなければ、パスタとソースが馴染んで、湯切りした場合と遜色ない出来栄えになる。トプバの5食298円ソースなどの粉タイプなら、むしろ湯切りをしない方がいいまであるだろう。また、同じ理由により、ソースを自作する際にもゆで汁ごと入れてマンテカーレの工程を挟むようにしている。