BsBsこうしょう

これは考えたことではなく思ったことです。

なれはて生活を始めて1年が経過しました(1/3) まとめ編

都落ちして1年が経過した。まあ、それなりに楽しくやっている。田舎つってもたかが知れてるし。

率直に、今住んでいるこの地が好きだ。住んでいる場所のアクセスが全体的によく、職住近接を実現できている。しかもマックスバリュが目の前にあり、駅近でもある。物価はそれほどでもないが、家は広く家賃は安い。はっきり言って、これ以上に高望みするのはほぼ不可能と言ってもいい。

また、当地はひなびた観光地としての側面もあり、町興しの一環として旧家屋の活用が進んでいる。まあつまり、飯にも困らないし実質ワーケーションをやっているようなものだ。小さな音楽会を見つけてそれに参加したり、そのほか新しい趣味をいくつか始めたりして、田舎での生活を満喫している。これくらいの規模の町と自分くらいの文化的素養の高さを以てすれば、文化的な営みなどそこら中に転がっている。

仕事も自分が等身大でできることを、等身大でやらせてくれるいい職場だ。会社のビジョンには全体的に共感しており、社会が抱える問題を解決できるだけのポテンシャルはあると思う(そんな劇的な改善ではないけど……)。私は私の思う正しいを貫いて生きたい、そしてそれは個人の幸福よりはるかに優先されることだと思っているが、弊社のやることは正義である、と思っている。相変わらず人に不慣れで多動や挙動不審さは目立つが、社内には寛大な方が多く、人間関係も恐ろしいほど上手くいった。

会社の外に出ると見える景色も気に入っている。山並みが非常に近く隣接しており、山の木々の、木の種類ごとの葉や枝の色の違い、葉の並びによって山の輪郭が盛り上がるテクスチャ、それらをはっきり認識できる山の風景は美しい。名所ではないが、季節ごとにその姿を変える山の姿は本当によく楽しませてくれた。

しかし、山並みをひときわ目立たせるのは、山の背景の最下部にして手前に存在するすき家の看板だ。雄大な自然の景色に沿うようにして赤く不躾な人工物、都会の遺産がこじんまりと座することによって、より自然の荘厳さを際立たせる、そういう景色の作りになっている。また、自然の山々がほど近いところにすき家がある景色は、隅々にまで行き渡る日本の都市開発・土木開発の象徴でもある。すき家があるような幅の広い幹線道路が自然のすぐそばを走る景色から、先人たちが脈々と受け継いできた人の営みを思いをはせることができる、そういう景色だ*1

だが、ひとたび足元から顔を上げると、黒く厚い暗雲が立ち込めている。

贅沢が許されない収入、昇進や昇給が望めないポジション、市場に見合うスキルも得られず転職も絶望的、仮に転職できたとしても事態の劇的な打開は不可能。正義の味方では食っていくことは難しい。

細い収入では男がグラム単価で捌かれる自由恋愛市場でも食い物にしかなりえず、家庭を築くことを諦めざるを得ない。よしんばそういったことが上手く運んだとして、自分とある程度以上に価値観を共有し得る人間は未来永劫現れない。

友達の中でひとりはいるであろう、「アイツは全てにおいて格下だからいくらでもイジってよい」という、自らの自尊心を満たすためだけに開けてある枠。この1年で、とうとう自分がその席に納まったことを実感している。まあ、これに関してはこれまで犯してきた罪の報いでもあるか。

ここは住みよい町だが、継続した人口流出など、地方ならどこでも抱えている問題が多数ある。解決法は、おそらくないだろう。この町が抱える閉塞感は、そのまま自分が抱える問題のように感じられる。さすがにこの町と運命を共にする気はないが、未来がないという一点においては、私と町は何も変わらないのだから。

先に進むことをやめた冒険者たちのホスピス、それが田舎に住むということだ。停滞を選んだ者たちが、やがて必ずやって来る破滅を待つまでの黄昏時、その姿、ありようはメイド・イン・アビスに登場するなれ果て村に通ずるものがある。

なれはて生活の目標

そんな田舎での生活だが、人生初の一人暮らしでもあるということで、継続的な一人暮らしを可能にするためにいくつかのルールを設計して生活した。それらのルールは、概ねよく機能してくれた。

目標はこんな感じである。

  • 自立した人間的な生活を送る
    • 服を臭くしない
      • 毎日洗濯乾燥機を回す
    • 温食(最低限の栄養)
  • 生活を送る中で、出費は最小限にする

端的に言うと、普通に暮らしができていることの範囲内で、可能な限り生活レベルを下げることを目標にした。生活レベルを上げると、それだけ継続的な一人暮らしのために余分なコストが発生する。余分なコストを抱え込む余裕は、今の自分にはないと判断した。また、そうやって生活レベルを下げることは、節約や健康にもつながると考えている*2

金管

後ろのセクションでは総合的な資金管理について挿入するべき場所が存在しないのでここに記す。

この1年間、支出は以下の3つに分けクレジットカードレベルでの分離を行って管理した。分離の仕方は企業会計を参考にしているが、実際のそれとは大きく異なる。

固定費

固定費は、どうしても避けられない継続的な出費や、1年以上使用することが見込まれる高級品の購入に充てられる資金である。その性質上能動的に使われることはめったになく、そのため予算の上限も(事実上)存在しない。具体的には、以下の出費が該当する。

  • 家賃
  • 光熱費
  • 水道代
  • 通信費
  • 服飾費
  • 調度品
  • その他、事故などによる避けられない高額な出費

例えば水道代やガス代を下げるためにシャワーをやめよう! とはなりえないわけで、通常変動費扱いされる光熱費は固定費で計上している。

変動費

変動費は、1年以上継続して使用しない消耗品や食費、嗜好品に充てられる資金である。浪費しようと思えばいくらでも浪費できるため、クレジットカードの限度額を10万円にすることで制限を図っている。つまり2か月で10万円、1か月あたり最大5万円ほどの予算となる。具体的には、以下の出費が該当する。

  • 食費
  • 交通費
  • 娯楽費(奢りが発生したとき、本を買うときなど)
  • 普段着
  • その他、固定費にあたるものの金額が安いものの決済など

旅行などをすると簡単に限度額に到達してしまう問題があるため、そのときは固定費のクレジットカードで決済して会計上は変動費で処理する(家計簿をつけているわけではないので、なんとなく覚えているだけで良い)。

普段着は1年で使い捨てる運用なので変動費に充てる。

小口現金

小口現金は、どうしても現金で支払わないといけない場面のために使われる資金である。使途の追跡が困難なため、引き出した時点で全損扱いとする。予算の上限はないが、基本的に使われることはない。具体的には、以下の出費が該当する。

実は水道代も本来は固定費ではなくこちらなのだが、支払履歴の追跡が比較的容易なのでこちらにしている。食費は現金支払いしか通らないところで使うほか、カード支払いができるところでも個人経営の店で喫食する場合はなるべく現金で支払うようにしている*3

それぞれの具体的な運用法

最も使う機会の多い変動費は、Visa LINE Payクレジットカードを使用している。

www.smbc-card.com

Visa LINE Payクレジットカードは使った直後にLINEで通知が届く*4のが最大の特徴だ。最も使用機会が多い=最もセキュリティ上のリスクにさらされやすいクレジットカードなので、不正利用にすぐ気づくために、LINEで通知が届く*5このカードは普段利用に最適であると言える。

なお、ポイントはあくまでLINEアカウントに対して付与されるので、LINEアカウントと連携していないカードでは一生ポイントがつかないことに注意。私はこれで半年分のポイントを失いました。


多額の決済に使われる固定費は、P-oneカードを使用している。

www.pocketcard.co.jp

P-oneカードは加入後のセールスの電話がしつこく*6、またサイトの作りが大変おざなりなのでオススメできるかと言われればかなり微妙なところなのだが、ポイントがつかないため「ポイントをどのように活用するのか?」といった煩わしいことを一切考えずに済むのが大きな魅力だ。

もともとMasterCardを使っていたが、MasterCardはだいぶカスな企業であることが分かってきたため、JCBに乗り換えようとしているところ(まだほとんど作業が進んでいない)。


小口現金や上記のカードの支払いには、ソニー銀行を選定した。

moneykit.net

まず、銀行の営業時間などのことを考えると、コンビニで引き出しができるネット銀行以外を選定するのはありえない。田舎だとゆうちょかネット銀行かの二択だと思う。

ネット銀行の引き出し、振込の手数料は銀行によってさまざまだが、月数回の引き出しと1回の振込は無料で行うことができるのがスタンダードらしい。ポイ活などの手段によってこの回数を増やすことができるネット銀行も多くあるが、ソニー銀行はそういった面倒くさいシステムが一切ないので採用した。ポイ活が平気ならauじぶん銀行などの方が向いていると思う。

また、都市銀行しか支払を受け付けないケース(奨学金など)も多いので、三大銀行のうちひとつは口座を持っておいた方がよい。この口座で小口現金の一部の支払いを行っているが、原則三大銀行の口座では引き出さない。つまり、ソニー銀行から三大銀行に移した段階で全損扱いとなる。先払いをそのようにして会計上で処理し、同時に面倒な毎月の支払いを頭から追い出す。

ちなみに、三大銀行の方のキャッシュカードをだいぶ前になくしてしまったので、もうどう頑張っても引き出せないし、ソニー銀行経由じゃないと残高を増やすこともできない。さすがに何とかしたほうが良さそうだが、再発行めんどくさい。

1年間の出費まとめ

以上の分別に従って集計された各支出を、月ごとにまとめたグラフを示す。

固定費の月ごとの支出

変動費と小口現金の月ごとの支出

固定費は、想定よりも変動幅が少なかった。冬場に多くなっているのは主にエアコンの電気代だった。

変動費は本来もっと節約する想定だったが、思ったよりお金が余ったので使う方向に修正した*7。9月あたりで方向修正したので9月あたりから全体的に使用金額が伸びている。10万円の限度額に容易に到達するようになってしまったのが悩みどころだが、悩んでいるということはこの節約法はかなり効力を持っている、ということなので今後も継続したい。12月と1月で大きく伸びているのは旅行があったため。旅行も良い体験だったので今後も色々やっていきたいところ。自分が行きたいところは、20年後は存在してない場所ばかりだと思うので……

小口現金については、4月から12月まではメインバンク解約時の資金で持ちこたえた。その後12月3月と出金が連続しているのは、これも旅行で現金使用がかさんだため。平常運転に戻ればこの引き出しで半年は持つと思う。金額が中途半端なのはなんとなくで決定しているため。

*1:写真を出せないのが残念

*2:健康については最近少し怪しくなってきた。半額総菜が強すぎて…

*3:「自分の出金履歴を追いやすくするためだけにカード支払いしか利用しない」と公言する人を前に見たが、自分勝手も甚だしく、なぜそんな態度を平然と公言できるのか疑問だ。その資金管理のコストを誰が代わりに負担すると思っているのだろう?

*4:サブスク系など、たまに届かないこともある

*5:たまに届かないの本当になんとかしてほしいです

*6:最近は収まって、むしろ三井住友カードの勧誘の方がしつこくなってきた

*7:これはかなり勘違いされがちなんですが、現金同等物は使うまでは価値ゼロだと思ってるので基本使った方が得です