BsBsこうしょう

これは考えたことではなく思ったことです。

7/10~7/14聞いた音楽

今週はよりコメントしづらい音楽をずっと聞いている。感受性はなかなか鍛えられない。

This Is オーサカ=モノレール

オーサカ=モノレールは日本のファンクバンド。これも勧められたので聞いていた。海外放映版ルパン三世のテーマ曲も担当した実績のあるバンドだが、全然知らなかった。世の中の音楽ユニットの数、多すぎである。

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ファンクとしては王道で質実剛健な印象を受ける。先週聞いた在日ファンクのような、歌詞で勝負するという印象を受けないのは個人的には好印象だ。

また、インスト曲を多く手掛けていることも特徴で、自分好みのファンクが結構見つかった。

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ファンクが流行った時期を考えても、70年代とかのハリウッド映画の劇判のような印象だ。個人的にはこういった曲を聞くと、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の劇判曲を頭に浮かべる。厳密にはファンクではなさそうだが、旋律の取り方などはよく似ていると感じる。

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ただこう、参考になるか? と言われるとまた違う音楽な気がしていて難しい。

Harmonium / Choruses from The Death Of Klinghoffer

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同僚のおすすめといっしょに並行して、読んでいた本に登場したおすすめ曲の消化も進めていく。

ジョン・アダムズアメリカ人の作曲家。ミニマルミュージックの提唱者であり、多彩な作風で多数の名立たる賞を受賞する、伝説的作曲家のひとりである。

その中でも特にいいよという話であったHarmoniumを聞くことにした。

とにかく厚みに厚みを重ねた重厚な音楽が特徴で、編成はフルオーケストラ+コーラス。神々しさすら感じる濃密さは、生で聞くとトリップしてしまいそうな圧迫感がある。

ただ、編成があまりにも豪華すぎて、市井ではまず演奏されないだろうな、という確信もある。オーケストラ、というか大編成はこういうことがよくあるから生で聞く価値が重視されるのだが……正直なところ、こういった風潮はあまり気に入らない。

また、Harmoniumは非常に音量が小さい(部分があり、聞きづらい)。おそらく、ちゃんと聞くには高価な設備が必要そう……。

ともに収録されているChoruses from The Death Of Klinghofferもフルオーケストラ+コーラスという編成などHarmoniumと似通った構成の音楽だが、こちらの方が分かりやすい旋律で聞きやすい音楽なように感じる。

そもそもハーモニーは旋律のことではないので、Harmoniumは対位法的なハーモニーを突き詰めた音楽と考えれば、まあ納得はできるか。聞いてそれが分かるほど良い耳は持っていないが。

ジョン・アダムズはピアノ独奏曲も作曲しているようなので、ぜひそちらも聞きたいところだ。

O Paraíso

Madredeusは、ポルトガル人の音楽ユニット。ファドというポルトガル民族音楽や、フォークソングを演奏するグループのようだ。

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O Paraísoはその中でもフォークソングに当たる位置づけになる。非西洋の音楽全体を表すワールド・ミュージックというジャンルもあり、それに当たると言えばそうなのだが、そもそもワールド・ミュージックというくくりは西洋中心主義的で、あまり望ましいものではないだろう。

ポルトガル語で歌われるので、当然我々には(そしてこれを聞くメインターゲットのアメリカ人にも)ちんぷんかんぷんなわけだが、それでもいい曲よくない曲の分別ができるという事実は、非常に驚きに値する。ちなみに自分はそういった部分の判別機構が壊れているっぽくて判断がつかない。すまぬ。。

歌は原初の楽器であり、声の高さは言葉ができるより前から人々のコミュニケーションに使われていた。歌と言葉の成り立ちはほぼ同時という話もあり、人間と音楽のつながりの強さを感じる*1

そういったことから、「原初の音楽である歌は、たとえその意味が分からなかったとしても人々の心を動かす」という根強い信仰がある。音楽に自信のある方は、ぜひこのアルバムのような意味の分からない音楽を聞いて自らの感受性を試してみてはいかがだろうか? 先述したように自分は器楽に特化しているので無理です。

しかしその構成には興味深いものがある。歌っている部分に注目すると、2部構成もしくは1部構成のものもあり、音楽としては原始的な印象を受ける。我々が普段よく聞く4部構成の音楽がいかに異常な発達をしたかを知るために、こういった全く知らない曲群に軸足を置いておくことには意義があることだと思う。音楽は本当に多様で、一次元的な複雑さではないことを思い知る。

おわりに(雑記)

書くことがない。最初の方は得意な曲を聞いていたのでレビューも饒舌だったが、今は耳慣れない曲ばかり聞いているのでレビューがだんだんおざなりになっているのを身に染みて感じる。

*1:ちなみに現在見つかっている最古の楽器はフルートのような横笛で、3万5000年前のものである。 世界最古の楽器? 4万年前の骨フルート | WIRED.jp